kotobamemo_bot's profile picture. うつくしいことばを紹介しているbotです。詩、小説、短歌など。随時更新中

ひとひら言葉帳

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うつくしいことばを紹介しているbotです。詩、小説、短歌など。随時更新中

俺はおとつい死んだから もう今日に何の意味もない おかげで意味じゃないものがよく分かる もっとしつこく触っておけばよかったなあ あのひとのふくらはぎに/谷川俊太郎「ふくらはぎ」


日々日記を書くというのはあらためてすごいことで、書くたびに、それまで生きてきた時間とこれから生きる時間の両方を編集し続けるようなところがあるのかもしれない。/滝口悠生「さびしさについて」


でも、あまくみあわないで、どうやってひとは愛しあえるだろう。許しあって、油断しあって、ほんのすこしばかり見くだしあって、ひとは初めて愛しあえるんじゃないだろうか。/川上弘美「おやすみ」


美は悲しいものだ。孤独なものだ。無慙なものだ。不幸なものだ。人間がさういふものなのだから。/坂口安吾「教祖の文学」


他人はどうしてあげることもできない。きなこ餅を作ってあげることくらいだろう。でもきなこ餅ごときでも、ないよりは絶対にあったほうがいいのだ。それが人生を照らす小さな光でないとも限らない。/よしもとばなな「ごはんのことばかり100話とちょっと」


ひとが来ないと寂しい 当然のようで ひとが来ると寂しい 噓のようで ひとが帰ると寂しい 噓がばれたようで /まど・みちお「秋日」


ふとつまんだ葡萄の果に 光る白い窓をみつけた 僕の舌の上で 冷たい秋の硝子が砕けた /竹中郁「青葡萄」


私、不良が好きなの。それも、札つきの不良が、すきなの。そうして私も、札つきの不良になりたいの。そうするよりほかに、私の生きかたが、無いような気がするの。/太宰治「斜陽」


アイ ひとが最初におぼえることば アイ にほんごのはじまりのことば アイ ぼくやわたしをいうえいごのことば /長田弘「アイということば」


木犀や恋のはじめの丁寧語 /南十二国


ねえクロージョライ、あなたがほんとうなんでしょ? 人は、心が燃えるなら体も燃えるのがほんとうなんでしょ。わたしはそうだと思う。わたしはこんなにあなたがすきで、なのにこの体が燃えもしないことが悔しい。/雪舟えま「タラチネ・ドリーム・マイン」


十月はわたしの帝国だ わたしのやさしい手は失われるものを支配する わたしのちいさな瞳は消えさるものを監視する わたしのやわらかい耳は死にゆくものの沈黙を聴く /田村隆一「十月の詩」


ぼくの詩のなかを いつも汽車がはしってゆく その汽車には たぶん おまえが乗っているのだろう でも ぼくにはその汽車に乗ることができない かなしみは いつも外から 見送っていたい /寺山修司「汽車」


一輪の大きな花を咲かせるためには ほかの小さな蕾は切ってしまわねばならん 摘蕾(てきらい)というんだよ 恋や愛でもおんなじだ 小さな惚れたはれたは摘んでしまわなくちゃならん そして気長に時間をかけて 一つの蕾だけを育ててゆく /茨木のり子「わたしの叔父さん」


私が、野菜をつい丸ごと焼いたり煮たりしてしまうのは、時間を惜しまずに味を引き出せば、料理以上の何か、発見のような、野菜の未知の世界に触れたような気さえするからです。/長尾智子「あさ・ひる・ばん・茶」


どんな花もいつかは枯れてしまいますが、描かれたものは残ります。ずっと永遠にあることを望まず、終わりの来ることを知っている花の潔さには僕の絵はかないません。/前田昌良「灰になった花」


秋はもうサラダになっているらしい /赤松ますみ


あなたの迎える数えきれない日曜日が まぶしく輝いてくれれば それでいい 朝の食卓に湯気をたてる コーヒー・カップが 確実に見えてくれれば それでいい /新川和江「果実のうた」


タバコの外装からセロハンをはずして 箱型のそれを机のうえに立ててごらん 透明にそびえることを望んでいる きみの城にそっくりだから てっぺんに火をつけると 美しい炎をあげて燃えあがり 十数秒で黒い灰になる すべてがこんなふうだったらわるくはないぞ /鮎川信夫「こんな夜には」


わたしは道の上の石が好きだ 星に似ているから 朝から晩までわたしの 行く先を照らしてくれる /イジー・ヴォルケル「巡礼のひとりごと」


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